に乗りあっさり


悟の腕の中で見悶えする詩津を見やった、聡は詩津が行ってと頷くのを見た。
早くに父を亡くした詩津には、おそらく急患を心配する家族を思って、過去の自分と重ねたのだろうと思う。

「なるべく早く戻りますから。」

遠く離れた外科病棟に、聡を呼ぶ詩津の悲鳴は聞こえなかった。
詩津の持つ、ただ一人の人と寄り添って生きてゆきたいという、普通の幸せへの憧憬は悟には届かなかった。
勝手な思い込みと、邪推に詩津は打ちのめされ、明け方やっと緊急手術を終えて詩津の元に走ってきた聡DPM點對點は言葉を失った。

「俺のお譲りでいいのなら、やるよ。」

そう言って、横をすり抜けた兄は歪んだ笑みを浮かべた。
寝台に擴がった詩津の様子が全てだった。

「詩津さ???ん????すまない???。」
「聡さ??ん。」

二人抱き合って、目が溶けるほど泣いた。


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(′;ω;`) あう~???今日は詩鶴の母ちゃんの詩津さんが~~!

此花、鬼畜~?
余りに悲惨なので心配してくださって、「新しいパパができました」を読んでくださった方がいらっしゃるみたいです。
拍手ありがとうございました。(*⌒▽⌒*)?←素直~

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悟の行為に打ちのめされた詩津を、聡は懸命に支えた。

「結婚してください。詩津さん。」
「僕の育って来た環境は今更どうしようもないけど、優しいあなたが居てくれるだけで、僕はこの先ずっと幸せでいられます。」
「新しい人生を、これから一緒に生きよう、詩津さん。」

哀しげに微笑む詩津を、聡は時間をかけてやっと手に入れた。

「僕が幸せになるために、あなたが必要なんです。詩津さん。」
「だから???どこへもいかないでください。お願いだから。」

悟に凌辱された身を恥じて、詩津が立ち去ろうとするのを見越し、聡は必死だった。
嗚咽にDPM床褥阻まれて、最後は言葉になっていなかったと思う。
詩津は、何度断っても日ごと顔を見せ、曇りのない本心を告げ続ける聡の手を取った。
桜の花弁が祝福のように舞い落ちる中、花の精はそっと聡の胸に額を当てた。

「聡さん。詩津をあなたの奥さんにしてください。」
「詩津もあなたが、好きです。」

詩津がそう告げた時、聡はやっと手に入った最愛の人を抱きしめ嬉し涙にくれた。

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アメリカから帰国した兄は、総合病院への思いが高じるあまり、どこか頑なになって行ったように思う。
生まれた時から、旧家である澤田家の期待を一身に背負い何の自由もなかった兄。
その、唯一最後の砦のようだった医師としての自尊心を図らずも打ち砕いてしまったのは、弟である聡だった。
柔和な微笑みを浮かべているが、自分の欲しい物をと手に入れた弟に、内心は割り切れないものを抱えていた。

昔から、表向き仲の良い兄弟のようにふるまいながら、悟は弟に一線を引いていた。
全て親に敷かれたレールを走ってきた悟と違って、幼い頃から屈託なく自由にふるまう弟の方を両親は愛した。
悟は利口な子供だったから、就学前から兄弟の立ち位置に違和感を持っていた。

大人の目のないところで、キックスケーター転んでしまったとき、たまたま傍にいた兄は父に頬を張られた。
お前が付いていながら、怪我をさせるなんてと訳も利かずに兄を責め、聡の小さな傷口には院長自ら、絆創膏を貼った。
あれから悟の心の深い場所に鋭い棘は立ちこみ、そのまま癒えることはなかった。

母や家政婦や、お抱え運転手まで誰もが天真爛漫な聡を愛した。
何故なんだろうと、素朴な疑問がわいたが長男ゆえの期待だと、割り切った。
試験の点数が少しでも悪かったり、首位から転落したりすると父は悟と食事の時に口も聞かなくなる。
読みたい本も読まず、作りかけの帆船の模型も封印して死に物狂いの悟の努力を誰もわかろうとはしなかった。
天才肌ではなかった悟が、上位の成績を維持するには文字通り血を吐くような努Panasonic電解水機力が必要だった。
それを知っていたのは、隣の部屋の弟だけだ。